入居者さんに入ってもらう火災保険2020年04月10日 | 貸物件豆知識
大家さんの保険と入居者の保険はそれぞれ個別加入が必須
建物の持ち主である大家さんと、その賃貸住宅を借りる入居者は、共に「火災保険」に加入します。
大家さんが入っている火災保険と入居者さんに入ってもらう火災保険は別物です。
大家さんが入る保険は、所有する「建物」が対象となります。建物自体で何かがあった場合にカバーするためのものです。
入居者さんは、建物は自分のものではありませんから、建物ではなく部屋の中にある「家財」が対象となります。
対象物が異なりますから、それぞれ個別に加入をしなくてはなりません。
入居者の火災保険
一般的に民法では、自分の過失によって他人に損害を与えたときには、その損害を賠償しなければいけません。しかし、失火による火災被害の場合には、特別に「失火責任法」に準じて、そちらの規定が採用されます。
失火責任法では、「失火の場合は、ものすごい過失(重過失)でない限りは賠償しなくてもよい」となっています。
ただし、賃貸契約は民法よりも優先され、退去時に原状回復する義務が定められています。つまり、入居者は過失の軽重によらず、損害賠償責任を負うことになります。
また、入居者が入る火災保険は、建物ではなく家財(室内の家電や家具など)を補償します。自分の過失はもちろんですが、先の「失火責任法」の通り、隣家からのもらい火であっても、隣家は補償してくれませんので、自分で備える必要があります。
火災の原因と保険の補償対象
火災の原因は、大きく分けると次の5種類です。
1. 入居者の過失
2. 大家さんの過失
3. 近隣からのもらい火など第3者の過失
4. 漏電
5. 地震・台風などの自然災害
このうち入居者の火災保険で補償されるのは、1.の入居者の過失による場合に限定されます。
近隣からのもらい火など第3者の過失
火災事故の場合の第三者に対する責任は「失火責任法」が適用されます。
重大な過失がない限りは、火元の入居者に損害賠償責任がないことになりますから、火元の入居者の保険ではカバーできないことになります。
もらい火で被害を被ってしまった場合は、建物自体は大家さんの保険、自分の家財は自分の保険で対応することになります。
よって、必ず全員、保険には加入する必要があります。